「人気劇場版へ繋がる前日譚」
平成仮面ライダー作品のニ作目、仮面ライダーアギト。
主役の津上翔一を賀集利樹が演じる。記憶喪失ではあるものの、料理や家庭菜園を愛する青年であり、仮面ライダーアギトに変身する。警視庁は未確認生命体であるアンノウンに対抗するため、G3システムを開発。初代仮面ライダーのように人体への改造を行わずとも、翔一のように特殊な力を得なくともライダーになれる。そのため、アギト劇中にG3システムを体に装着し、最後にフェイスを人間の手で装着するシーンがある。「人間が対アンノウンのために作り出したもの」であることを表す印象的なシーンであり、主な装着者の氷川誠を要潤が演じる。また、バイク事故をきっかけに仮面ライダーになってしまった葦原涼を友井雄亮が演じる。
今回紹介するのは、仮面ライダーアギトスペシャル「新たなる変身」。前回のテレビスペシャルであるクウガは新春スペシャルであり、ほとんどが総集編で構成されていたが、こちらは完全新作である。劇場版であるPROJECT_G4を兼ねているのか、細かい違いはあれど正統派の番外編である。劇場版を観たことがある方、これから観るという方にはぜひ視聴してほしい。
【以下ネタバレあり】
G3システムを使用し、アンノウンに対抗する警視庁。しかし、G3-Xでアンノウンを倒しても新たなアンノウンが現れ、アンノウンの犯行が止まらない。現行のままではいけない、新たな対策が急務であるとされた。
警視庁では、G3システムの新形態「G3マイルド」の装着者の募集がされていた。装着者が限られている現在のG3-Xを含むG3システムとは異なり、「誰でも装着員になれる」というものであり、今回のテストがうまくいけば量産され、新たな対アンノウン部隊が作られ、大きな戦力になると期待された。
いつも通り美杉家のみんなと日々を過ごす翔一。ピーマンをはじめ、たくさんの野菜を家庭菜園で育てている。ある日の食卓で翔一は、ピーマンのサラダに思い出があると話す。ある日、記憶喪失で入院中にお世話になった心理学者、国枝に出会う。国枝は、京本政樹が演じる。実は、彼の紹介で翔一は美杉家に居候することになったと判明。そして美杉先生は酒癖が悪かったことも判明する。
アンノウンと戦うためアギトになった翔一を見かけた国枝。過去の記憶とアギトを重ねていた。翔一はアンノウンを撃破後、暴走。国枝を襲いかける。気絶してしまう。
意識を取り戻した翔一は、アギトの姿で国枝を襲ってしまったこと、自分で自分の力をコントロールできていないことに恐怖を覚える。
悩む翔一は「ピーマンの肥料を探してくる」と言い美杉家を離れる。バイクを運転する翔一のもとに国枝が現れる。心理学者とは思えないパンチをお見舞いする。何発もだ。そして国枝の息子もアギトになってしまった人間であり、アギトであることに耐えられず自ら命をたってしまったことを伝える。「アギトに負けた」のだと。作中でも何人もの人間が同様の結末を辿っていることを考えると、悩みつつも自分でいられている翔一の異次元さが分かる。
翔一は国枝の言葉を受け、アギトとして戦うことを改めて決心するのである。決心したのだが、警視庁の北條にアギトであることがバレてしまい、連行されてしまう。
偶然居合わせた葦原は翔一をアンノウンの元へ送り出し、北條へパンチをお見舞いする。
アンノウンの出現に伴い、G3-XとG3マイルドが出動。アンノウンと戦うもののG3マイルドは動けなくなり、G3-Xのみでの戦闘に。遅れて来たアギト、ギルスと共に戦い、アギトは太陽光のエネルギーを取り込みアギトシャイニングフォームへと進化。敵を撃退したが、G3マイルドの不完全さが露呈する結果となった。
アンノウンはますます強くなり、G3-Xでは対抗できなる。近いうちにG3-X以上のシステムが必要になる。そしてその未来は確実に近づいて来ている。そしてそれを狙う者も。
観終わった後「プロジェクトG4を見返したい欲」が溢れてしまった。気になる方は、仮面ライダーアギト劇場版PROJECT G4を是非。
おおざっぱに言って、ピーマンのサラダを入院患者に出すのは珍し過ぎないか?